「年金って何歳から受け取れるんだろう?」と考えたことはありませんか?年金は老後の生活を支える大切な収入源ですが、受け取り方には選択肢があります。実は、受給開始年齢を早めたり、遅らせたりすることができるため、そのタイミングによって受け取れる金額が大きく変わります。今回は、年金が何歳から受け取れるのか、その選択肢とメリット・デメリットについて詳しく解説します。
年金は何歳から受け取れるのか?
現在、日本では年金の標準的な受給開始年齢は65歳です。これは「老齢基礎年金」および「老齢厚生年金」の両方に適用されます。しかし、年金は何歳からでも受け取れるわけではなく、60歳から75歳の間で受け取り開始時期を選ぶことができます。この選択によって、受け取る年金額が変動するため、慎重に考える必要があります。
では、60歳から75歳の間でどのような選択肢があるのか、具体的に見ていきましょう。
受給開始年齢の選択肢とその影響
1. 60歳からの「繰上げ受給」
60歳から64歳の間に年金を繰り上げて受給することが可能です。繰上げ受給を選択する場合、通常より早く年金を受け取れるメリットがありますが、その代わり、毎月の年金額が減少します。具体的には、1ヶ月繰り上げるごとに年金額が0.4%ずつ減額されるため、5年間繰り上げて60歳から受給を開始した場合、最大で24%の減額となります。
例えば、65歳で月額10万円の年金を受け取れるはずだった場合、60歳で繰り上げ受給を選ぶと、約7万6千円まで減少します。この減額は一生続くため、早めに受給を開始することが必ずしも得策とは限りません。繰上げ受給を選ぶ際は、長期的な視点で考慮することが大切です。
2. 65歳での「標準受給」
年金の標準的な受給開始年齢は65歳です。この場合、減額や増額のない基準額で年金を受け取ることができます。65歳まで働き続ける場合や、年金以外の収入がある場合には、この標準受給を選ぶ人が多いでしょう。
65歳での受給を選ぶと、年金制度が想定している金額通りの年金が受け取れます。ライフプランを立てる際、特に長期的な資産計画を考慮したい場合には、65歳での標準受給が安定的な選択肢となります。
3. 66歳から75歳までの「繰下げ受給」
一方で、年金の受給開始を66歳から75歳まで繰り下げることも可能です。繰下げ受給を選ぶと、1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ増額されます。つまり、75歳まで受給を遅らせた場合、65歳で受け取れる金額の84%増額されます。
例えば、65歳で月額10万円の年金を受け取る予定だった場合、70歳まで受給を繰り下げると、月額約14万2千円まで増加します。繰下げ受給は、長く働く予定があったり、他の収入源が十分にある場合に有効な選択肢です。また、健康で長生きする見通しがある場合、増額された年金を長期的に受け取ることで、老後の生活がより安定する可能性があります。
繰上げ・繰下げ受給のメリットとデメリット
それぞれの選択肢にはメリットとデメリットがあるため、しっかりと理解した上で判断することが大切です。
繰上げ受給のメリット
- 早めに年金を受け取れる:
60歳から年金を受け取ることで、早期に生活費の足しにできる。 - 収入が早期に確保できる:
リタイア後すぐに安定した収入が得られるため、貯蓄を取り崩すリスクが軽減される。
繰上げ受給のデメリット
- 年金額が減額される:
繰り上げる期間に応じて減額されるため、生涯受け取る年金の総額が減る可能性がある。 - 一度決定すると変更不可:
繰上げ受給を選択すると、その後に受給開始年齢を変更することはできません。
繰下げ受給のメリット
- 年金額が増額される:
受給開始を遅らせることで、増額された年金を一生受け取ることができる。 - 生活にゆとりが生まれる:
繰下げによって受け取れる金額が増えるため、老後の生活がより安定する可能性が高まる。
繰下げ受給のデメリット
- 受給開始が遅れる:
生活費を年金に頼る場合、繰下げ期間中は他の収入源を確保する必要がある。 - 長生きすることが前提:
増額された年金を長期間受け取るためには、健康で長生きすることが前提となります。
あなたにとって最適な選択は?
年金の受給開始年齢をどうするかは、あなたのライフスタイルや健康状態、そして経済状況によって異なります。以下のポイントを考慮して、最適な選択をしましょう。
- 早めにリタイアしたい場合:
早期退職後すぐに収入を確保したい場合、繰上げ受給を選択するのも一つの手です。ただし、その分年金額が減額されることを考慮し、他の収入源や貯蓄の活用を検討してください。 - 健康で長生きする自信がある場合:
長く健康で働く予定がある、あるいは他の収入がある場合は、繰下げ受給を選んで年金額を増やすことで、老後の生活をさらに安定させることができます。 - 安定した老後生活を重視する場合:
65歳での標準受給は、減額も増額もなく、安定した選択肢です。ライフプランがしっかりしている場合には、この標準受給を選ぶことで安心感が得られるでしょう。
まとめ
年金は何歳から受け取るべきか、繰上げ・繰下げの選択肢を理解することで、あなたの老後の収入計画が大きく変わります。早めに受け取ることで早期の収入を確保するか、遅らせて増額された年金を受け取るか、選択肢をじっくりと検討し、自分にとって最適なタイミングを見極めてください。
老後の生活を安定させるためには、年金の受給タイミングとともに、その他の資産形成も併せて考えることが大切です。あなたのライフプランに合った選択をして、安心して豊かな老後を迎えてください。