あなたが投資や節約、貯金の判断をするときに無意識に影響されている「心理的バイアス」は、損得に関する決断を曇らせ、意図せず不利な判断をしてしまう原因にもなります。「心理的バイアス」と聞くと難しそうに感じますが、身近で多くの人が経験しているものです。たとえば「次こそ勝てるはず」という思い込みや、「周りの人もやっているから大丈夫」と感じることも、立派なバイアスです。投資やお金に関する決断においても、これらのバイアスは大きな影響を及ぼします。今回は、その主要なバイアスを理解し、賢い意思決定をする方法について解説します。
1. 現状維持バイアス：変化を嫌い、現状に固執する
現状維持バイアスは、変化を避けて安定を保とうとする心理です。「今のままで問題ない」と感じ、たとえ投資や資産運用に挑戦してみたい気持ちがあっても、リスクが伴うために行動を起こさないことがあります。もちろん慎重さは大切ですが、現状維持バイアスが強すぎると、成長や利益を得る機会を逃す可能性もあります。
対策：
このバイアスを避けるには、「リスクを取らないことのリスク」にも目を向けることが大切です。たとえば、将来のインフレリスクを考慮し、少しずつでも投資や貯蓄の方法を見直してみましょう。小さな変化を積み重ねることで、バイアスを少しずつ克服できます。
2. 確証バイアス：自分の信じたい情報ばかりに目が向く
確証バイアスは、自分が信じている情報や期待する結果に偏った情報ばかりに注意を向ける現象です。たとえば、「この投資は必ず成功する」と信じていると、その確証を裏付ける意見ばかりを探しがちです。これにより、冷静にリスクや他の視点を見逃してしまう危険があります。
対策：
確証バイアスを避けるためには、意識して反対意見や別の見解に耳を傾けることが重要です。たとえば、あなたが興味のある投資対象について、逆に否定的な意見やリスクについて調べてみることで、冷静な判断ができるようになります。
3. 後悔回避バイアス：損失を避けるために決断を先延ばしする
多くの人は損をすることを嫌います。後悔回避バイアスは、損失を回避しようとするあまり、行動を起こすことをためらう心理です。「やっぱりやめておけばよかった」と感じるのが怖くて、投資を躊躇したりすることもあります。
対策：
後悔回避バイアスを克服するには、「長期的な視点」を持つことが有効です。短期的な損失に囚われず、計画に基づいて少しずつリスクをとることが大切です。未来の利益を考え、投資を「失敗」ではなく「経験」と捉えることで、後悔を減らすことができます。
4. アンカリングバイアス：初めに見た情報に囚われる
アンカリングバイアスは、最初に見た情報や価格がその後の判断に強く影響する現象です。たとえば、ある株が最初に見た値段より少し下がっただけで「安くなった」と感じ、焦って購入してしまうことがあります。価格や価値についての冷静な判断が難しくなるため、投資においては注意が必要です。
対策：
価格だけでなく、投資対象の価値を複数の指標で見るようにしましょう。収益性や将来の市場予測などのデータに目を向けることで、アンカリングバイアスから解放され、理性的な判断ができるようになります。
5. 群集心理：他人の意見に流されてしまう
人は、周りがやっていることに安心感を感じます。これが群集心理であり、特に投資においては大きな影響を及ぼします。友人や家族が「この銘柄が良い」と言うと、つい流されてしまうこともあります。しかし、他人の成功例が必ずしも自分に合うとは限りません。
対策：
投資をする際は、自分のリスク許容度や目標に基づいた判断をすることが大切です。情報収集や分析を自分の手で行い、「自分のための投資判断」を意識することで、群集心理に左右されずに投資ができるでしょう。
まとめ：心理的バイアスを理解して、冷静な判断を
「心理的バイアス」は誰にでも働く自然な心の傾向ですが、投資においてはこれらを把握し、うまく対策することで、冷静な判断ができるようになります。重要なのは、バイアスにとらわれずに情報を広く収集し、あなた自身の目標とリスク許容度に合った判断をすることです。しっかりと対策を取ることで、投資を成功に導き、将来の資産形成にも役立てることができるでしょう。
